「可傷的な歴史(ロードムービー)」を観た

Created: May 12, 2020 12:45 PM
Last Edited: October 26, 2020 12:07 AM

以下のtweetで知った「可傷的な歴史(ロードムービー)」を観た。かしょうてきなれきしと読むのかはわからない。

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vimeoのリンクはこちら

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内容はまぁvimeoのリンク先を観たら概要が書いてあるのでそれを読んだらいいと思う。それかレンタルして観たらいい。1時間ちょいなので。自分は観たので観た感想を書きます。

在日コリアンの子孫はとにかく社会情勢なり歴史的経緯なり日本社会での立場なりに左右されやすい状況にあるんだなと思いました。大変ですね。かなり衝撃的なのは川崎の公園で行われた在日コリアンへ向けたヘイトスピーチの映像。こういうものとは距離をとって過ごしていたというか、遭遇しても知らんぷりで去っていたので実際の映像を観るとショックだった。自分は沖縄出身なんですが、もし沖縄人は島に帰れ集会とかやられたら唾吐いて帰る。でも在日コリアン3世とかになってしまうとそもそも韓国での生活を経験していないので、どうにもできない。まぁ国外に行くこともできるとは思うけど、そもそもなんで生まれた国で迫害されなきゃいけないんでしょうね。

ただ、ヘイトスピーチはアイデンティティクライシスの要因の一つなのかなと思いました。集団で生きていく上で人種と言語は切り離せない。登場人物である在日コリアン3世の女性は中学校までは朝鮮学校、それからは韓国学校に通ったと語られている(多分、東京韓国学校だと思う)。韓国学校は仕事などで日本に滞在している韓国人の子供が通うような学校で小学校にあたる初等部もある。つまりはほぼネイティヴな韓国人と中学校生活を送ったわけですが、北朝鮮-韓国間の政治問題を考えるとこれは結構ハードではと思うし、もう一度述べるが集団で生きていく上で人種と言語は強く意識される、と思う。あんまりはっきりと言えないのは日本人の集団でしか人生を送っていない自分とっては想像し難いからです。仕事だりーとか適当な愚痴をこぼすのにもハードルが設けられる感じかなと思う。想像が浅い。

もう一人の登場人物である日系スイス人の男性。こちらは対照的に写る。アイデンティティが確立しています。「アイデンティティについてヨーロッパでを気にしたことは?」という問いに、少し考えた上で「ないね。」と答えています。ここは見どころなのでこれ以上の言及は避けます。日系であることと在日であることの違いはなんでしょうね。前者は日本にルーツを持つが、現在は離れて暮らしている。後者はルーツは韓国にありつつも日本で暮らしている。一見、日本での在日外国人を取り巻く環境に問題がありそうにも思えます。でも在日日本人(あえてこう言ってしまいます)はアイデンティティクライシスに陥らないのかと問われるとどうでしょうね。もちろん在日コリアンのそれとは原因が異なってくると思いますが。

全く違う作品の話をします。今年の四月に創刊した文学ムック「ことばと」収録されている佐川恭一さんの「舞踏会」です。

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ある男性の視点で文章が綴られているのですが、内容は強烈な卑屈と自分を敗者たらしめた社会への皮肉が延々と書かれています。読後は最高の後味の悪さがあります。読んだらいいと思う。

在日コリアン3世の女性と「舞踏会」で視点を借りる男性の共通点はあるようなないようなという感じですが、前者は自身の出自と環境、後者は挫折という形で自身が置かれた場所に対し、強烈な疎外感を覚えている点です。あまり自信を持って書けない上に、ありきたりな話になってしまうので恐縮なのですが。つまるところ、集団が多様性を受け入れる/受け入れないの話の前に、自身と集団との差異を許容する必要があるのかなと思いました。集団は一匹の生き物ではなく、個々の集まりなのでお互いが差異を意識すればそれが当然になる、と思うよ。まぁヘイトスピーチなんてされたらそんなの無理だろと思うし、基本的に日本では同調を前提に色々が成り立っているので難しい。ただ、集団に属していることに自覚的であろうと思いました。

以上です。まぁこれくらいの長文を書こうかなと思うくらいには面白いので観たら。

 

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