2024年聴いたやつで印象深かった作品、ベスト1です。
かなり音が良かった。とにかく何だかよくわからない音が鳴っていて、人の声っぽい部分もあるんですが、どうなんだろう。不気味さもあるんですが、間が抜けたような感じもあり…。とにかく好きですね。ジャケも質感があっていい。
一番良かったのはコンセプト?というか作品紹介でした。制作者のPercipientは夢の中で個人となった友人や音楽家たちと出会いました。この作品は彼らの音楽の痕跡だと述べます。Outre-exoticaなる名前が指すのは死後の世界を異国と捉え生と死の垣根を超えることを目指した音楽のことで、つっかえるような電子音やノイズはポルターガイストにおけるラップ音を模し、時折現れる楽器は脈絡のないフレーズを残して消えていく。これが生きている人間が理解しうる「痕跡」らしいです。
多分2023年までだとスピリチュアルだなーくらいで流していたと思うんですが、沖縄へ帰ってきてその固有の死生観を改めて意識することが増えたんすよね。沖縄ではあの世はグソーって呼ばれているんですけど、そこでは現世(イチミ)と同じ世界が広がっていて、亡くなった人が同じように生活していると考えられています。グソーは海の向こうへあるだとか、山にあるだとか、現世と重なるように存在しているだとか諸説ありますが、生きている人間が立ち入るとやばい罰が与えられてだいたい死にます。亡くなった人が現世に来るのはいいっぽいですけど。とにかく亡くなったら人間は終わり、ではないんですよね。亡くなって現世からいなくなったとしても、現世で生きていたという歴史は消えない。消えないからコミュニケーションだと感じるようなこと(ポルターガイストなど)が起こったり、一方通行でもコミュニケーションを試みたりする(ウチカビなど)。死者を悼む行為は個人の歴史を忘れないことなのかもしれないと思いました。Outre-exoticaもそういったアプローチの一つなんでしょう。
2024年は人間をおざなりにすることが当たり前に行われているなと感じることが多かったっていうのもありますね。例えば佐渡島の金山の世界文化遺産の登録とか。日本政府と韓国政府の同意があったからヨシ!ってなるのおかしいよね。あと、国民民主党党首の尊厳死に関する発言とか。紅白の選曲とか、結局亡くなったら人は消え去る、もしくは消え去っていいと考えているからこういうことが起こるんじゃないかなと思いました。年をまたいだくらいで何かが変わるわけもありませんので、2025年も引き続きいろんなことに声を上げていきたいです。