久々の日記だ。最近観たり聴いたり読んだりしたものの感想を書いていきます。
黒い家(1999年)って映画を観ました。もともと小説が原作らしいですが、読んでないです。題材としては保険金殺人。ジャンルとしてはサスペンスというかサイコホラーですね。詳しい内容は観てください。2時間ありますが、1時間切ってからが本番だと思います。
感想としてはモヤモヤしつつ面白かったです。サイコスリラーな作品に共通していることだと思うんですが。犯人の異常性を解説してしまうのはすごいリスクありますね。今作はそれをかなり陳腐なやり方で演出しています。小学生のころに書かれた作文を読んであーだこーだ言うのマジでどうかと思う。っていうか保険金殺人なんだから動機は金目的じゃないのか。
同ジャンルの作品だと黒沢清監督作品、地獄の警備員(1992年)が自分はとても好きなので、どうしても比較してしまいます。地獄の警備員は犯人の真意が全然わからず推し量ることもできない。明確に描写しないことで狂気のわからなさがより強調されていると思っています。
黒い家に話を戻しますね。一番印象に残ったのは主人公と犯人が対峙するラストシーン、必要なこと以外ほとんど喋らなかった犯人が「あたしも切られたのよ、親に手首を。保険金もらうために。同じことして何がいけないの!」と怒るところ。同作品のサブタイトルは「この人間には心がない」ですが、こうやって感情を露わにした犯人を見てしまうと、サブタイトルが指す「この人間」とは犯人のことではなく犯人からみた周囲の人間なんじゃないかなと思いました。あいつらは、心がないから、何をしてもいい。
続いて映画、クロユリ団地(2013)を観ました。中田秀夫監督作品ですね。自分が一番好きな映画が「仄暗い水の底から」で、結構楽しみにしていたんですが、あんまでした。主演の前田敦子の演技はまぁアイドルだしっていう先入観を払拭するくらいにはよかったです。っていうかそこしかいいとこなかったかもしれん。なんかスゲーよくなかったんですよね。
まず団地に引っ越してきた主人公とその家族の生活描写から始まるんですが、主人公の家族は実は昔亡くなっていて冒頭のシーンで登場した家族は主人公が見ていた幻なんですバーン!!!みたいな。へーって感じ。いわゆるサバイバーズギルトってやつだと思っているんですが、事故の被害者遺族でかつ唯一の生存者である主人公が、家族、そして事故とどうやって向き合ってきたのかが蔑ろにされているんですよね。引っ越す前はこの状態じゃなかったんだから。これも団地に住む幽霊の仕業?と考えてもいいんですけど、この省略が事故遺族を単なる舞台装置として扱っているのがありありとわかって嫌。もっと血肉の通ったというか、丁寧に描写してほしい。あと、主人公の前田敦子を助けようとする役を成宮寛貴が演じているんですが、この役の過去に関するサブストーリが完全に終わっている。成宮が事故に巻き込んでしまい、目を覚まさなくなった恋人が出てくるんですが、お見舞いシーンが一つあるだけ。主人公を生かしたままメインストーリを終わらせるためにこいつにも悲しい過去用意しました〜って感じで虚無でした。ホラーはやっぱ幽霊だろって思ってたんですが、これはちょっとしょーもなさすぎた。ていうか仄暗い水の底からが名作すぎるんだよな…。
沙耶の唄の小説版を読んだ。原作はR18のいわゆるエロゲーと呼ばれるやつなので、小説もそんな感じではあるんですが(なのでリンクはなし)、そういうシーンは少なめで3箇所くらい?原作の内容を踏襲しつつ別のオリジナルエンドへ…と言っても分岐によって生ずる二つの選択肢を混ぜた感じです。続編が企画されていたようなんですが、音沙汰ないみたいですね。正直、このエンディングだと続編はありきたりなディストピアものにしかならないので出ないんじゃないんでしょうか。自分はこの結末にそこそこ満足しました。みんな、恋せえよ~!
最近はGodspeed You! Black Emperorを最新作から遡る感じで聴いてたんですが、2013〜最新作は、うーんって感じですね。ポストロック・マナーの連発に聴こえてしまってあまり面白くない。この手のジャンルのオリジネイターだと思うのである意味しかたないのかもしれません。緊張感に欠け、一曲一曲がさらに長く感じてしまいました。再結成前の1st~3rdは結構よかったですね。というか1stとかめっちゃ別バンドじゃん。アプローチとしては再結成後にも似てると思うんですが、なんていうか、ミステリアスというか、フリークフォーク、ストーナー感があって面白いです。